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2020年3月5日(木曜日)
新型コロナウィルスに係る法務対策

以下の文章は、2020年3月5日付で当事務所の顧問先企業様に宛ててご連絡した内容を一部編集したものです。

はじめに

新型コロナウィルス感染症(COVID-19:以下「新型コロナウィルス」といいます。)の感染が急拡大しており、企業の経済活動にも様々な影響が出ています。

当事務所の顧問先企業様におかれましても、新型コロナウィルスへの対応、対策を試みていらっしゃる事かと思いますが、1.取引先との関係、2.社内労務との関係、3.資金繰りの関係等どのように判断したらよいか悩みを抱える場面もあるかと思います。

当事務所としては、顧問先企業様がこの難所を乗り切り、新型コロナウィルス収束後に勢いよく事業活動を進められるよう、速報性を重視して、有益と考えられる情報をご共有させていただきます(今後も有益な新情報を入手した際には都度ご共有させていただきます)。

ご不明な点、ご相談事項等ございましたらいつでもお気軽にご連絡ください。

本書面は秘密性を持たせるものではありませんので、必要に応じて友好関係のある企業様などにご開示いただいても構いません。

対応策について法的に求められる水準

  1. 取引先との関係及び社内労務との関係では、まず何よりも、適切な新型コロナウィルス対策を講じているかどうかが重要です。判例上、対応策の適切性の水準は、当時の科学的知見に基づく水準が求められます。仮に同業他社と同程度の水準に基づいた対応をしていたとしても、これが当時の科学的知見に基づく水準に満たなければ必ずしも責任を回避することはできません。
  2. 必要な対策を講じることなく、安易に事業継続すれば、それによって、従業員や顧客への感染拡大の原因となった場合には、会社だけでなく役員個人としての責任も問われる可能性があります。一方で、安易に事業中断をすることになれば、労働者からは給与の支払義務や休業補償等の要求がなされ、それに応じざるを得ないことになります(事業中断等しているため当然従業員は労務を提供していません。ノーワークノーペイでは?と思うかもしれませんが、そのような状況を作出した責任が会社にあると判断される場合には、民法536条の規定に基づいて、会社は従業員に給与を支払う義務があります。)。そもそも、事業中断による企業の逸失利益や損害賠償、取引打ち切りの問題もあります。
  3. したがって、すべての出発点は、当時の科学的知見に基づく水準を備えた適切な対策を講じることです。適切な新型コロナウィルス対策を検討し、社内通達を出すことを通して従業員に新型コロナウィルス対策を周知徹底させましょう。適切な新型コロナウィルス対策の内容としては、たとえば、テレワーク、在宅勤務割合の調整、海外・国外出張・会食・交流会の禁止ないし制限、通勤時間の調整を最低限行う必要があります。その他、情報漏えい防止体制の構築、在宅勤務者とのコミュニケーション方法等事業に支障を生じさせない体制の検討も重要になります。

取引先との関係

  1. 特に、取引先との関係で、高リスクな案件については、事前に、新型コロナウィルスの影響をめぐる問題について債務不履行状況に陥ったとしても責任追及しない旨の覚書を作成しておくことをおすすめします。
  2. 新型コロナウィルスの感染拡大により多くの企業のサプライチェーンが大きな影響を受け、納期遅れや、サービス提供が困難となったケースも相次いでいます。新型コロナウィルスの影響で納期遅延等になる場合には、まず対象となる契約の準拠法を確認した上で、不可抗力に関する規定の有無、規定がある場合には具体的な内容を確認してください。
  3. 取引先から債務不履行責任を追及されないためには(=取引を打ち切られない、損害賠償請求を受けないためには)、現時点では、相当厳重な体制を構築しなければ注意義務を尽くしたとは評価されないものと思われます。
  4. 事業規模、事業内容によっては当該体制の構築に相当な困難を伴う場合もありますので、そのような場合、金額規模が大きい、紛争化リスクの高い取引先など高リスク案件については、事前に告知し、新型コロナウィルスの影響をめぐる問題について債務不履行状況に陥ったとしても責任追及しない旨の覚書を作成しておくことをおすすめします。
  5. 他方で、新型コロナウィルスの影響があるため、すでに締結した契約関係を解消したいと考える状況もあると思います。このような場合には、締結済みの契約に、重大な悪影響が生じた場合に契約解除を可能とする条項が規定されているか否か、もし規定されているとした場合には、当該条項を個別の事案に適用できるか否かを確認してください。なお、そのような規定がなかった場合であっても、法令ないし法理に基づく契約解除を主張する余地もありますのでよく検討する必要があります。

社内労務との関係

  1. り患のおそれのある従業員の出社拒否の際の賃金、休ませる場合に有給休暇を消化させることができるか、社内で感染が拡大した場合の会社の従業員に対する損害賠償責任、稼働従業員減少に伴う労働時間超過の問題、事業場外のみなし労働時間制を利用できるか、在宅勤務の賃金等、新型コロナウィルス対応にて社内労務関係にも悩むことがあるものと思います。
  2. 上記の中でも特に直近の問題としては、新型コロナウィルスの感染が疑われる症状のある従業員に対する対応や、休業時の休業手当の支払いの要否かと思いますがこれについては、厚生労働省から「新型コロナウィルスに関するQ&A(企業の方向け)」がでていますのでこちらをご確認ください。
  3. こちらのQ&Aに掲載されていない、または内容について質問したい、より深く理解したいなど、新型コロナウィルス対応にて労務関係で具体的な悩みを感じていらっしゃる場合には当事務所までご連絡ください。

資金繰り等の関係

  1. 経産省のWebページにて、資金繰り支援を含む各種支援策につき掲載されています。また、経産省が「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」と題するパンフレットを配布しています。支援を受けることを検討されている方はこれらのURL先をご確認ください。
  2. 資金繰りの悪化が見込まれる場合には、手遅れになってしまう前に早めに金融機関とのリスケ交渉その他の対応策を検討し、備えておきましょう。内容について質問したい、より深く理解したいという場合には当事務所までご連絡ください。

 
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