エクイティでの資金調達

エクイティでの資金調達が進行中に、コロナ禍が直撃してしまった
スタートアップが今確認すべき事項を整理しています。


1. はじめに

エクイティでの資金調達を進めている状況にあるものの、経済的打撃を被ったためにバリュエーションを低めに設定せざるを得ない局面もあるかと思います。
このとき、不用意に低めのバリュエーションで対応してしまうと、既存投資家との関係や以降のラウンドでの資金調達に支障が生じかねません。
会社価値を適正に反映したバリュエーションで調達する必要があります。

2. エクイティ以外の代替手段の検討

まずはそもそもですが、エクイティ以外の代替手段を検討する必要があります。
資金繰り表の見直しを含めた要調達金額再検証、エクイティ調達時期の調整等を検証しましょう。
また、一般的にスタートアップは銀行融資や助成金を受けるハードルが高めになりがちではありますが、借入れ、助成金などの公共機関からの支援や少人数私募債による調達で対処できないか等も検討しましょう。

3. J-KISSの活用

以上を踏まえてなお、やはり相当額をエクイティで調達せざるを得ないとの判断になることもあると思います。
その場合にはバリュエーションをつけない形での資金調達を検討する必要があります。
この点でシードの段階やブリッジファイナンスで利用されるJ-KISSの活用がおすすめです。
J-KISSはこちら(https://coralcap.co/2016/04/j-kiss/)にオープンソースがあり、利用方法についても解説されていますのでご参照ください。
バリュエーションキャップやディスカウントはもちろんですが、テンプレートから変更されている箇所がないかは必ずよく確認してください。

4. 希釈化防止条項に注意

また、バリュエーションを相当に下げざるを得ず、ダウンラウンドになってしまう場合には、希釈化防止条項の内容にも配慮する必要があります。
希釈化防止条項とは、ダウンラウンド時に既存優先株主の議決権比率が不当に薄まることを防止するための条項です。
調整の度合いは、フルラチェット方式、ブロードベース方式、ナローベース方式の順に大きく、いずれによるかは契約書に記載されるものですが、ブロードベース方式(当初の株式の発行価額とダウンラウンドにおける低額な株式の発行価額とをそれぞれの発行株数で加重平均した値を算出するもので、この加重平均をとる際に潜在株式(ストックオプションなど)を計算式に参入する方式)とされることがほとんどかと思います。
希釈化防止条項が発動すれば経営株主などの議決権比率が希釈化してしまうので、ダウンラウンドの場合には、お手元の株主間契約書又は投資契約書にて希釈化防止条項の影響をご確認ください。

5. pay to play条項も確認

関連してpay to play条項 の存否と内容も確認しましょう。
pay to play条項とは、投資家に対して新株等引受権の行使を促す規定であり、具体的には、①投資家の有する株式の内容が、新株等引受権を行使した投資家にのみダウンラウンドの際に生じる転換価額の調整が適用されるというものや、②投資家が新株等引受権を行使しなかった場合には以後のラウンドにおいて新株等引受権を失うというものです。
pay to play条項があれば、これを根拠にして事実上調達金額を増枠できる可能性があります。
また、既存投資家との契約にpay to play条項が入っていない場合においても、新規投資家とコミュニケーションし、新規投資家を通して既存投資家にpay to playを要請するか検討することも考えられます。pay to play条項は、追加投資をしないと一定の権利を失うという強い効果をもつ規定となるので通常は既存投資家から受け入れられにくいですが、エクイティでの資金調達の必要性が会社存続に影響を及ぼすほどに高まっている場合等には、この追加要請も十分に検討の余地があると思います。

6. おわりに

調達手法及び計画の検討、借入れ、少人数私募債、助成金などの公共機関支援を得るためのサポート、J-KISSの活用、希釈化防止条項を踏まえた投資家とのコミュニケーション、その他資金繰り全般についてサポートさせていただきます。

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