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2022.9.8
ストックオプション・株式報酬の財産分与

岩崎総合法律事務所は、資産家、経営者、投資家、高額所得者などの「富裕層」と呼ばれるお客様に対する法務サービス Legal Prime® を提供してきた経験から、同種の離婚事件を豊富に取り扱ってきました。

資産が多い夫婦特有の問題について、過去の裁判例・審判例を踏まえた分析をもとに、お客様にとって最善の解決となるようにサポートしています。

特設サイト「富裕層世帯の離婚」

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ここでは、クライアントからだけでなく、同業者の弁護士からもよく相談を受ける、ストックオプション・株式報酬の財産分与の問題について、よく相談に上がる事項・論点となる事項についてQ&A形式で解説します。

当事務所は、上場企業、非上場企業問わず様々な株式報酬の設計・課題解決を手掛けてまいりました。これらの知見は、夫婦間の財産の清算の場面である財産分与手続においても効果を発揮しています。

離婚問題が予測される状況の方は、財産分与を見据えて大至急行うべき事前の対策があります。時期を逃すと有効な対策の多くが実行できなくなります。ストックオプション・株式報酬の財産分与についてお悩みの方は、早急に当事務所までお問い合わせいただくことをお勧めいたします。

 

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弊事務所では、富裕層法務サービス Legal Prime® を通じ、資産家、投資家、会社経営者などの資産・収入の多いお客様に対し多様なサポートを提供してまいりました。

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目次
  1. ストックオプション・株式報酬とは
  2. ストックオプション・株式報酬が財産分与の対象となるか
  3. ストックオプション・株式報酬の財産的評価

 

1. ストックオプション・株式報酬とは

株式報酬イメージ

役員・従業員に対する報酬として新株予約権が付与される「ストックオプション」。こうした株式報酬が関係する離婚に伴う財産分与にあたっては、その制度内容の理解が必須といえる

Q1-1 ストックオプション・株式報酬とはどのようなものですか

株式報酬とは、業績連動報酬(会社の発展と連動して自らの収入額が増加する仕組み)のひとつです。株式報酬には、株式として受領するものと、新株予約権として受領するもの(ストックオプション)が含まれます。

ストックオプションを含む株式報酬は、ベンチャー企業やスタートアップ企業ばかりでなく上場企業などでも広く導入されている制度であり、経営陣はもちろん、幹部従業員などもこれらを受領していることがあります。

どのような株式報酬をどれほど受領しているかは、付与時から現時点までの会社の状況の推移にもよりますが、経営陣クラスになると、これら株式報酬は財産規模として軽視できない規模になっている場合が多いです。特に、プロ経営者の場合にはこの傾向が顕著です。

当事務所は、様々な株式報酬の設計・課題解決を手掛けてまいりました。これらの知見は、夫婦間の財産の清算の場面である財産分与手続においても効果を発揮しています。

Q1-2 株式報酬にはどのような種類があるのでしょうか

株式として受領する株式報酬には、概要、以下のようなバリエーションがあります。株式受領のタイミング(条件成就後に付与するか、譲渡制限付きで先に付与しておいて条件成就後に譲渡制限を解除するか)や、業績条件が付くか否かが大きな違いとなります。

① 事前交付型リストリクテッド・ストック(RS)

一定期間の譲渡制限が付された株式を役員に交付するもの

② 事後交付型リストリクテッド・ストック(RSU)

予め交付株式数を定め、一定期間経過後にその株式を役員に交付するもの

③ パフォーマンス・シェア(PS)

中長期の業績目標の達成度合いに応じて、株式を役員に交付するもの

④ 株式交付信託

会社が金銭を信託に拠出し、信託が市場等から株式を取得し、一定期間経過後に役員に株式を交付するというもの

 

一方、新株予約権として受領する株式報酬(ストックオプション)には、概要、以下のようなバリエーションがあります。

① 株式報酬型ストックオプション

株式を報酬とすることを狙いとしたストックオプションです。権利行使価額を1円として設計することが多いので、1円ストックオプションとも呼ばれます(なお、令和元年改正会社法上、上場企業の取締役、執行役に報酬等として新株予約権を付与する場合に限り、権利行使価額を0円とすることが認められるようになりました。いずれも株式を付与するのと同等であることをとらえて株式報酬型ストックオプションと呼ばれます。)

② 通常型ストックオプション

権利行使価額を付与時点の株価より高く設計して発行するストックオプションです。これにより権利行使時点の株価が付与時点の株価よりも上昇している場合に、当該差額分が報酬相当分の利益となります。

③ 有償新株予約権(有償ストックオプション)

時価で新株予約権を発行するストックオプションです。有償新株予約権は、その付与の対価として公正価額を支払うものであり、付与の対価が役務の提供ではありません。このため、有償新株予約権は報酬ではないものと整理されています(もっとも、価値ある新株予約権の割当てを受ける機会を得られることをもって実質的に報酬といいうる面もあります)。

 

2. ストックオプション・株式報酬が財産分与の対象となるか

六法の離婚の項目と結婚指輪のイメージ

ストックオプションをはじめとする株式報酬は、財産分与の対象となりうる。その財産的価値が大きい場合には、離婚条件を大きく揺るがすものとなるため、事前によく検討することが必要

Q2-1 ストックオプション・株式報酬は財産分与の対象になりますか。そもそも財産的価値があるのでしょうか

ストックオプションを含む株式報酬にはさまざまな種類がありますので、離婚が問題となった時点で、当該報酬に財産的価値があるのか否かを個別に検討する必要があります。

具体的には、報酬の内容がユニットやポイントなのか、実際に株式を受領しているのかなど、個別的な事実関係をもとにして、財産的価値の有無を検討することになります。

Q2-2 ストックオプション・株式報酬が発行会社に無償取得されて没収されてしまいました。財産分与の場面では、無償取得されてしまったこれらの株式報酬は、無価値になってしまうのでしょうか

経営権に支障をきたすくらいなら、と発行会社をして無償取得させるような場合に、この論点が生じます。

無償取得事由をどのように判断したのか、それに合理的な理由があるのか(例えば他の付与対象者の分も無償取得しているかなど)などによりますが、財産分与の回避のためのみを目的として行われた場合には、無償取得されていないものとして財産分与の対象財産に算入される可能性があります。

Q2-3 婚姻前に付与されたストックオプション・株式報酬であれば、財産分与の対象にならないのでしょうか

原則として、婚姻前から有する個人資産は、財産分与の対象とならない特有財産です。

このため、ストックオプション・株式報酬の付与が婚姻前であれば、それ自体はもちろん、さらにその派生(例えば、ストックオプション行使により取得した株式、その株式売却益など)も特有財産と扱われる可能性があります。

特に、金融商品的な性質の強い有償新株予約権(有償ストックオプション)であれば、このように扱われる可能性が高いといえます。

一方で、それが報酬的な性質の強いものであれば、付与の時期が婚姻前であっても、財産分与の対象となる夫婦共有財産と扱われることもあります。

ストックオプションの行使条件、リストリクテッドユニットやパフォーマンスシェアユニットの株式付与条件、その他株式報酬の業績条件などの条件自体が専ら婚姻後に充足されたという経緯がある場合などには、「報酬」的な側面が強調され、その可能性が高まります。

このように、ストックオプション・株式報酬の財産分与対象性を巡る問題は、その性質(金融商品的性質のものか、報酬的性質のものか)や、発行要項、割当契約書、付与規程上の定めなどの権利そのものの内容、発行会社が当該ストックオプション・株式報酬を発行した経緯・動機など一切の事情を踏まえて検討されるべき問題です。

 

3. ストックオプション・株式報酬の財産的評価

ビジネスグラフイメージ

ストックオプションをはじめとする株式報酬の評価を金銭的に見積もるためには、専門家の助力を得る必要がある

Q3-1 ストックオプション・株式の評価方法を教えてください

市場価格のある株式と異なり、ベンチャー企業などの非公開会社の株式・ストックオプションには一義的な時価がないため、その評価が争いになります。

また、市場価格のある上場企業の株式であっても、それが報酬として付与される際には様々な制約がつけられているので、同様に評価が争いになります。

評価には用いるべき算定方法が複数ある場合もあります。ストックオプションの評価方法としては、ブラックショールズモデル、モンテカルロシミュレーションなど、株式の評価方法としては純資産方式、類似業種比準方式、併用方式などが代表的な方法です。

また、これらのうちひとつの算定方法をとってみても、前提とする事実や数値によって評価額に幅が出ることは不可避です。

特に主要な資産である場合、必要なコストを考慮の上、信頼性のある第三者に評価を依頼し、評価証明書を取得することが重要です。

Q3-2 財産分与の手続でも、一般的なストックオプション・株式の評価額が採用されるのでしょうか

Q3-1で述べたのが資産評価の一般論ですが、離婚による財産分与が問題となる場面では、特有の評価要素が生じます。

離婚に伴う財産分与は、一切の事情を考慮して公平性の観点から判断されるものです。

この際、必ず考慮しなければいけないのは、理論上の評価額ではなく、資産の正味の価値を検討することです。すなわち、資産取得のために多大な費用を要した場合や、資産取得自体や財産分与としての清算の過程で税金の負担が生じる場合には、これら費用や税金の影響があることを考慮する必要があります。これは通常の資産評価の問題と離れた、財産分与特有の評価の論点といえます。

例えば、ストックオプションを現金化するためには、行使して株式を取得して売却する必要があります。

ストックオプションの種類が有償ストックオプションであれば、その行使に伴う行使価額の支払いを要し、行使時点で取得原価と株価の差額が分離課税となります(財産分与の場面では通常はすぐ株式処分する前提で計算されるので、株式処分に係るキャピタルゲイン課税は考慮されません)。

無償ストックオプションであれば、行使時点の課税が、総合課税になります(税制適格ストックオプションであれば、行使時点では課税されず株式処分時まで繰り延べられたうえで分離課税となります)。

また、このように株式報酬には金銭に変える過程までに税金の負担が生じるので、その負担に対応させる趣旨で発行会社から税金相当分の金銭支給がある場合もあり、この点の検討にも注意が必要です。

なお、評価が問題となるのは、その資産を処分せずに金銭での清算を要する場合や現物分与や代償分与の方法を用いる場合に限られます。これに対して、最終的な解決までの間に実際に換価して分与する方法を用いる場合は、可能な限り高額で換価できるように良い買い手を探すのみですから、特段評価が問題になることはありません。

 
 


 
 

岩崎総合法律事務所エントランス

岩崎総合法律事務所は、企業からの依頼で多種多様な経営者報酬に関する業務を手掛けるほか、富裕層世帯の離婚事件も数多く取り扱っている

以上、ストックオプション・株式報酬の問題のうち、よくご相談いただく事項について解説してきましたが、これらの論点について正当な結果を求めるためには、事実関係及び法律関係を整理して、正確に主張立証することが重要です。

当事務所は、上場企業、非上場企業問わず様々な株式報酬の設計・課題解決を手掛けてまいりました。これらの知見は、夫婦間の財産の清算の場面である財産分与手続においても効果を発揮します。

株式報酬イメージ

取扱業務:株式報酬・報酬事故対応

もし、ストックオプション・株式報酬の財産分与についてお悩みの方は、初回のご相談は30分間無料※ですので、少しでもお困りの際にはお気軽にご相談ください。既に代理人を選任されている場合でも、当該代理人を補助する趣旨でサポートすることも可能です。

※ ご相談の内容や、ご相談の態様・時間帯等によっては、あらかじめご案内の上、別途法律相談料をいただくことがございます。

富裕層法務サービス Legal Prime®

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