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2023.3.21
遺産の評価を巡る問題③ ~動産・債権の評価~

岩崎総合法律事務所では、資産家、経営者、投資家、高額所得者などの「富裕層」と呼ばれるお客様に対する法務サービス Legal Prime® を提供する中で、相続紛争案件のノウハウ、経験が蓄積されてまいりました。

資産家個人が死亡する場合にその世帯で生じる相続紛争の問題について、お客様にとって最善の解決となるようにサポートしています。

特設サイト「富裕層ファミリーの相続紛争」

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富裕層の相続においては、「遺産の評価」を巡る問題が高確率で発生します。
その遺産の規模が大きい場合、いくらで評価するかで結果が大きく異なるからです。

資産の評価はこれを専門とする機関が存在します。
しかし、かかる機関は必ずしも裁判実務のプロフェッショナルではありません。
取引で活用されるような資産の評価と、公正な裁判のために活用されるべき評価はそのポイントが異なるところがあります。
したがって、評価については、専門機関に依頼する際にも、裁判実務の傾向、その依頼趣旨や前提事実について専門機関によく説明し、内容についてよく協議することがポイントです。

以下では、「遺産の評価」の問題のうち「動産・債権の評価」の問題について、Q&A形式で解説いたします。

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当事務所では、資産家個人が生前に資産承継計画を検討される際、遺留分の問題を見据えた助言、設計もサポートしています。生前、遺留分問題への対策を含めた資産承継計画についてご関心をお持ちの方も是非ご相談ください。

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弊事務所では、富裕層向け法務サービス Legal Prime® を通じ、資産家、投資家、会社経営者などの資産・収入の多いお客様に対し多様なサポートを提供してまいりましたが、これにより得られた知見の一部を書籍化し出版しております

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目次

 

Q1 遺産の評価の問題は、どうして重要なのでしょうか

株式や不動産はその価値が一義的に定まるものではなく、評価を要します。

その評価方法には様々あり、評価方法毎に算出される評価額に大きな差が生じることはよくあることです。
また、たとえ同じ評価方法であったとしても、その評価の前提にすべき事実関係をどのように設定するかによっても評価額には差が生じます。

このため、評価を要する資産については、その評価方法や前提事実をめぐって問題となります

評価に関する調査が不十分であるなどにより、不当に請求額が低かった場合には本来の権利は実現しません。
一方で根拠なくいたずらに高額な評価を主張しても、結局採用されないうえに裁判所に納付する手数料も高額になってしまいます。

このため、あるべき合理的な評価額がどのようなものであるかを把握した上で臨むことが重要です。

なお、評価をするにあたっての基準時は、遺留分侵害の額は通常は相続開始時を基準として評価します(遺産分割については分割時など問題となる場面によって評価時点が異なるので注意が必要です)。

Q2 遺産に債権が含まれますが、これは額面どおりで評価されるのでしょうか

遺産には債権が含まれることもあります。

このとき、債権の額面が明らかであっても、債務者の資力や担保等を踏まえて回収可能性を考慮して評価されます

古い裁判例ですが、大審院大正7年12月25日判決(民録24・2429)は、十分な回収可能性がある債権であることを認定の上、額面通りの価値があるものと評価しています。

Q3 富裕層世帯の相続紛争にみられる、債権の価値評価をめぐる争いのケースはどのようなものでしょうか

ビジネスマンと株価

自社に関連する債権は問題になりやすい

富裕層個人が経営する会社に対して、役員貸付金や立替金をはじめ様々な債権が遺産に含まれる場合が多いです。
そしてその額面は非上場のオーナー企業や資産管理会社の場合には大きくなる傾向があります。

このとき、この債権は、回収可能性がないという状態でない限りは、上記のとおり額面どおりで評価されます。
オーナー企業も、資産管理会社も多くの場合債務超過ではありませんので、回収可能性ありということになり額面で評価されます。

しかし実際のところは回収しようとすることはありません。
回収(返済)をすれば、資金繰りに支障が生じるなど会社の運営維持に問題が生じてしまう可能性があるからです。

そうすると実のところ、回収可能性がないようなものであって、実質的に価値のないものとも思ってしまいますが、そうした評価がされることはなくあくまで額面にて評価されます

こうした遺産に対する当事者の認識・価値のとらえ方と裁判実務のギャップが相続紛争を生じさせる要素の一つとなる場合があります。

Q4 遺産に動産が含まれますが、これはどのように評価されるのでしょうか

遺産には動産が含まれることもあります。

多くの場合遺産に対して動産の価値が占める割合は小さく、それほど争点になることはありません。

しかし、富裕層の場合にはは古美術品等高価な動産を保有していることも多く、軽視できない価値を有することがあるため争点になることがあります

その真贋や価値について、美術商の意見や過去の取引額、取得価額などを参考にしながら評価を試みることになります。
 
不動産や株式に対して評価方法が確立していないものや仮に評価方法自体存在していても当該動産の評価要素が特定できない場合も多く、その規模が大きい場合には事実関係に即した合理的な分析が重要といえます。

 


 

岩崎総合法律事務所エントランス

岩崎総合法律事務所は、富裕層世帯の相続事件の処理経験も豊富で、他にも資産家・富裕層及びそのファミリー向け業務を多く扱っている。

以上、特に富裕層世帯の相続に特有のポイントを解説してきました。
これらの論点について正当な結果を求めるためには、事実関係及び法律関係を整理して、適切な分析に基づいた方針のもと、正確に主張立証していくことが重要です。

もし、相続問題、遺留分の問題を巡ってお悩みの方は、初回のご相談は30分間無料※ですので、少しでもお困りの際にはお気軽にご相談ください。
※ ご相談の内容や、ご相談の態様・時間帯等によっては、あらかじめご案内の上、別途法律相談料をいただくことがございます。

富裕層法務サービス Legal Prime®

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