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2023年4月1日(土曜日)
【株式報酬】べスティング条項の注意点

岩崎総合法律事務所では、上場企業・スタートアップのお客様に、ストック・オプション(SO)、リストリクテッド・ストック(RS)、パフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)など、株式報酬制度の設計・発行に係るサポートをしています。
発行や運用に係る法務だけでなく、報酬委員や外部アドバイザーとしてサポートすることも可能です。
以下では株式報酬を巡りよく質問いただく事項を簡単に取り上げています。

べスティング条項の注意点

Q:ベスティング条項を設けたいと思っていますが注意するべき点などはありますか。

A:まずそもそもの要否を検討します。取り入れる場合には、どのようなベスティングにするか業態や権利行使条件の定め方を踏まえて検討し、クロ―バック条項やマルス条項の導入も検討します。

よく問題になる事例と法律関係

ベスティングとは、権利行使可能数を時の経過とともに段階的に引き上げる条項を指します。

ベスティングを付けていなければ付与対象者が権利行使条件を満たし、全てこれを行使してすぐに退職してしまうリスクがあります。業態や(ベスティング以外の)権利行使条件の定め方によっては、付与対象者には一定期間在籍していてもらうことを想定しているような場合もあると思います。こうした場合にはベスティングがないと真にインセンティブとしての効果を期待することができません。

一方、ベスティングには注意も必要です。権利行使条件の判定基準時とベスティング期間とに相当の間隔があるときには、ベスティング期間満了を待つためだけに在籍する者が現れるリスクです。あらゆるインセンティブに共通するリスクではありますがこれに対策するためにはクロ―バック条項やマルス条項を盛り込むことが考えられます。

このように、ベスティングをつけるべきかどうか、ベスティングをつけるとして最適な設計はどのようなものかは、業態、設計すべき権利行使条件、クロ―バック条項やマルス条項など全体の設計にかかわるところであり、ベスティングの定め方も様々なバリエーションがあります。ベスティング条項についてはよく吟味して設計することが重要といえます。

 
 

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