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資産管理会社名義の財産は、離婚の際に財産分与の対象となるのか。
今回は、経営者など富裕層の方の多くが保有する資産管理会社と財産分与についての疑問にお答えいたします。
岩崎総合法律事務所では、一般的な離婚事件のほか、資産家、経営者、投資家、高額所得者などの「富裕層」と呼ばれるお客様に対する法務サービス Legal Prime®を提供する中で、富裕層世帯における財産分与案件のノウハウ、経験が蓄積されてまいりました。
離婚についてお悩みの経営者やその配偶者など富裕層世帯の方は、当事務所までご相談ください。
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経営者の夫(妻)との離婚を考えています。相手の経営している会社の株式は相手の個人名義ではなく、夫(妻)が設立した資産管理会社と呼ばれる別の会社の名義で保有しているようです。この場合、相手が経営している会社の株式は財産分与の対象となるのでしょうか。
原則として会社名義の財産そのものは、財産分与の対象になりません。
ご相談者の場合、財産分与の対象になるのは、配偶者の持っている資産管理会社の「株式」です。
ただし、例外的に、資産管理会社名義の個々の財産を評価して清算する方法や、資産管理会社名義の財産を直接財産分与の対象にする方法が実施される場合もあります。
資産管理会社を含む、第三者名義(夫婦以外の名義)の財産が財産分与においてどのように取り扱われるかについては以下のコラムもご覧ください。
コラム【会社・子ども名義の資産は財産分与でどう扱われるか〜第三者名義の財産の取扱い〜】

資産管理会社とは、その名のとおり資産の管理を目的とする法人です。
主な役割として、①所得税対策、②財産評価(相続税対策)、③事業承継・ガバナンス対策、④名誉・レピュテーション対策、⑤ファミリーオフィス(ファミリーガバナンス)等があります。
資産管理会社一般についての詳細は以下のコラムをご覧ください。
原則:財産分与の対象になるのは、資産管理会社名義の財産ではなく資産管理会社の株式
資産管理会社名義の財産は、夫婦以外の第三者である資産管理会社が所有している財産であることから、原則として財産分与の対象にはなりません。
その代わり、配偶者が所有している資産管理会社の株式は配偶者個人の財産であるため財産分与の対象となります。
ただし、資産管理会社の設立時期(婚姻前か後か)や、資産管理会社の維持等に夫婦の貢献があったのかどうかといった具体的な事情によって、財産分与の対象に含まれるかどうか結論が異なります。詳しくは、上でもご紹介したこちらのコラムをご参照ください。
資産管理会社は事業を行わず、その資産を管理運用するものであることから、事業会社と比較して、株式の評価において純資産価額方式が考慮され、その比重も大きくなる傾向にあります。しかしこれにも、次のように違った取り扱いがされる場合があります。
資産管理会社名義で保有している資産が、例えばビル1棟のみなど少ない場合や、設立間もない場合などには、その資産それぞれを時価評価して計算する、すなわち株式評価ではなく単に個々の資産をもとに評価して整理するほうが公平とされる場合もあります。
会社の名義を利用して財産分与額を低く抑えることを目的とするような場合や、実質的には個人事業と変わらず、個人が会社財産を管理し経済的利益を独占している場合等には、資産管理会社の株式ではなく、会社の名義で保有している財産そのものが財産分与の対象になることもあります。
以上、資産管理会社名義の財産が財産分与においてどのように扱われるかについて解説してきました。
財産分与においては、離婚前から財産に関する資料を収集すること、さらには収集した資料を分析して、主張立証に備えることが必要です。
また、これらの行動を適時適切に行うには、資産管理会社に精通した専門家のサポートが不可欠です。
離婚問題が顕在化している方はもちろん、万が一の離婚に備えておきたいとお悩みの経営者、資産家、またはその配偶者の方は、初回のご相談は30分間無料※ですのでお早めに当事務所までご相談ください。
※ご相談の内容や、ご相談の態様・時間帯等によっては、あらかじめご案内の上、別途法律相談料をいただくことがございます。