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2026年3月27日(金曜日)
改正家族法で新設:「情報開示命令」とはー不透明な資産を明らかに

Question

家族法の改正に伴って新設される「情報開示命令」とは、どのような制度ですか。
 

Answer

収入や財産を明らかにしない当事者がいる場合に、裁判所が、当事者の申立てや職権により、その情報を開示するよう直接命じる制度です。2026年4月1日から運用が開始されます(新家事事件手続法152条の2、新人事訴訟法34条の3)。

婚姻費用請求や離婚、財産分与に関する手続において、裁判所が必要と認めた場合に発せられます。

もし正当な理由なく命令に従わなかったり、虚偽の報告をする等した場合には、10万円以下の過料に処せられるという制裁規定も明文化されました

これまでの実務では、相手方が資料提出を拒み続けた場合に強制的に開示させる手段が限られていましたが、新制度では過料という金銭的な制裁(ペナルティー)が設けられました。

これにより、資料を提出せずに曖昧なまま逃げ切ろうとする相手方に対し、心理的なプレッシャーを与えることで自発的な開示を促す効果が期待されています。


 

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情報開示命令が利用される場面

離婚にともなう財産分与や婚姻費用の分担が問題となる際、相手方の収入と資産を正確に把握することが重要です。

特に相手方が経営者や医師、投資家などの高所得者富裕層である場合、保有資産が預貯金・不動産・株式・暗号資産など多岐にわたり、その全容をご自身の力だけで特定することは困難です。

また、資産を切り崩して生活しているケースや、配当金や賃料収入のみで生活しているケースなど、資金の流れが分かりづらい場合もあります。

「本当の収入を隠しているのではないか」、あるいは「資産を別の口座に移されたのではないか」といった不安を抱えながら、不利な条件で協議を進めざるを得ないケースは少なくありません。

こうした状況を改善し、相手方が隠そうとしても法的な力で情報を引き出す仕組みとして新設されたのが「情報開示命令」という制度です。
 

従来の手続とのちがい

従来の手続(文書提出命令や調査嘱託など)では、対象となる書類をピンポイントで特定する必要があり、存在を把握していない資料の提出を求めることには高いハードルがありました。

これに対し、新設される情報開示命令は、より幅広く「資産や収入に関する情報を開示せよ」と命じることも想定されています。

これにより、「何を隠しているか分からないから、調査のしようがない」という行き詰まりを解決できることが見込まれます。

また、情報開示命令が導入された後も、調査嘱託、文書送付嘱託や文書提出命令は引き続き利用可能です

本人に自発的な開示を求める新制度と、当事者や第三者から客観的な証拠を得る従来の制度、この2つを戦略的に使い分けることで、より精度の高い資産調査が可能となるでしょう。
 

実効性には課題も

ただし、新制度の実効性には課題も残されています。情報開示命令に従わない場合、過料の制裁はありますが、刑事罰ではなく、金額も最大10万円です

そのため、「10万円を払ってでも財産を隠し通す」という強硬な相手方に対しては、十分な強制力とならない懸念があります。

新制度が実際の運用においてどの程度の強制力を発揮するかは、今後の実務の運用を見定めていく必要があります。

財産分与イメージ

公平な財産分与のために、新制度と従来の制度を活用して相手の財産を把握することが重要

 

岩崎総合法律事務所にご相談ください

高額な財産分与や婚姻費用が争点となる事案では、この新しい情報開示命令と従来の調査方法をいかに有効活用するかが解決への大きな鍵となります。

相手方の資産状況に不審な点がある場合は、手遅れになる前に専門家へ相談し、最適な調査を行うことが鍵となります。

財産調査の具体的な方法、隠し財産の調査方法に関しては、以下のコラムもご覧ください。

 コラム:財産分与と財産調査 〜「いつ」「なにを」「どのように」調べるか〜 ※2025年1月21日更新

 コラム:富裕層の離婚・財産分与〜隠し財産を特定する調査方法とは?

改正家族法によって導入される情報開示命令は、これまで不透明だった収入状況や資産状況を明らかにすることを目的とした制度です。

特に資産が多岐にわたるケースにおいて、この制度が果たす役割は大きいものといえるため、今後の実務運用を注視する必要があります。

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