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2022年4月16日(土曜日)
【株式報酬】報酬戦略における開示戦略

岩崎総合法律事務所では、上場企業・スタートアップのお客様に、ストック・オプション(SO)、リストリクテッド・ストック(RS)、パフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)など、株式報酬制度の設計・発行に係るサポートをします。
発行や運用に係る法務だけでなく、報酬委員や外部アドバイザーとしてサポートすることも可能です。
以下では株式報酬を巡りよく質問いただく事項を簡単に取り上げています。

報酬戦略における開示戦略

Q: 報酬戦略の点で開示にあたって気を付けることはどのようなことでしょうか。

A: 法令やコーポレート・ガバナンスに関する報告書記載要領などに準拠することは当然として、これ以上に、投資家との適切な対話、関係性を構築する姿勢が重要です。報酬制度の設計や運用の開示にあたっては、それが自社の報酬戦略に沿ったものであることを積極的に開示していく姿勢が望ましいといえます。

法令等に準拠すること

まず、当然のことながら法令に準拠することが重要です。
たとえば、会社法上、事業報告では、報酬等の額または算定方法に関する方針の決定の方法、内容の概要の記載が求められます。また、代表取締役が一任されて個々の役員の報酬を決めるような場合には、権限が適切に行使されるようにするための措置を講じたか、講じた場合にあっては、その内容はどのようなものかの記載が求められます。当該事業年度に係る業務執行取締役の個人別の報酬等の内容が当該方針に沿うものであると取締役会が判断した理由の記載も求められます(会社法施行規則119条、121条)。

また、有価証券報告書等においても、業績連動報酬に係る指標、当該指標を選択した理由、当該業績連動報酬の額の決定方法及び当該指標の目標及び実績、業績連動報酬とそれ以外の報酬等の支払割合の決定方針があればその旨等の記載が義務付けられています。

「投資家との適切な対話、関係性を構築する」という姿勢

しかし、法令等の規定に照らして、この点の開示は必要ない、この程度の開示で足りる(これ以外の開示は不要)といった考えでは不十分です。
開示は投資家に理解してもらうために行うものであり、上記の要請もその一角に過ぎません。
投資家との適切な対話、関係性を構築するために、自社の報酬戦略等を積極的に開示していく姿勢が望ましいといえます。

そのためにはまずは自社でよく検討して開示案を作成した上、第三者の確認を経ることが有益です。

 
 

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