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2024年7月2日(火曜日)
医師・医者の離婚 〜配偶者の持分や、配偶者が理事の問題〜

岩崎総合法律事務所は、医師・医者、資産家、高額所得者などの「富裕層」と呼ばれるお客様に対する法務サービス Legal Prime® の提供を通して、医師・医者世帯の離婚事件も取り扱ってきました。

医師・医者世帯特有の問題について、最善の解決となるようにサポートしています。

特設サイト「富裕層世帯の離婚」

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医師・医者といっても様々です。
・勤務医、開業医といった違いから、開業医は医療法人や一般社団法人(又は財団法人)を運営しているか。
・医療法人であれば持分があるか、ないか。
・法人を運営している場合はMS法人(メディカルサービス法人)を保有しているか。
これらによって収支や資産の状況は大きく異なります。
・また、眼科医、皮膚科医、耳鼻咽喉科医、整形外科医、美容整形外科等の美容系、歯科医など専門医の属性によっても収支や資産の状況に一定の傾向があります。

また医療機関経営者は、
・医師でない配偶者や親族を理事や従業員等何らかの役職につけているケースもあります。
・ときには持分や株式を保有させている場合もあります。
こうした配偶者等の関与の形態いかんもあるべき解決に大きな影響を与える場合があります。

本コラムでは 医師・医者の離婚 について、医師でない配偶者や親族を理事や従業員等何らかの役職につけているケース、そうした配偶者が持分や株式を保有しているケースで生じる論点をQ&A形式で解説します。
「持分あり医療法人の持分」を巡る問題はこちらをご参照ください。
また、持分なし医療法人、MS法人や開業医の問題についてはこちらのコラムをご参照ください。

一口にはいえない医師・医者の離婚問題を適切に解決するためには、
医療法、医業業界実務に精通していることが必要です。
資産が大きければ資産家・高額所得者ゆえの特殊論点・実務に精通していることも大切です。
岩崎総合法律事務所では、医師、クリニック、病院、医療法人、大学病院等の医療機関や、バイオメディカル・ヘルスケア事業を営む会社向けに、法律サービスを提供してきました。
これらの知見は、医師・医者世帯の離婚の問題においても効果を発揮します。
お悩みの方は、当事務所までお問い合わせくださいませ。
医師イメージ

取扱業務:医療・バイオメディカル・ヘルスケア法務

 

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目次

 

Q1 医師でない配偶者が医療法人の理事とMS法人の役員になっていますが、これにはどのような論点がありますか。

理事や役員であれば相応の報酬を受領する権利や、他の理事や役員に対する監督権限を有しています。
法人運営に関与する権限も有しています。

夫婦仲が悪化した時、医師でない配偶者のこうした関与を嫌い、理事や役員から退けようとする動きが生じる場合があります。
その主な方法には、解任と任期満了があります。

解任は医療法人ならば社員総会を開き社員の頭数の過半数、株式会社ならば株主総会を開き議決権数の過半数の賛成をもって行われます。
解任が適法に行われたかはこうした総会の開催や決議の取り方によります。

また、解任の手続が適法でも、「正当な理由」のない解任である場合には、法人は損害賠償責任を負います。
夫婦仲の悪化を理由とするだけでは正当な理由があるものとはいえないでしょうから、その場合には残りの任期の期間を考慮して法人が損害賠償責任を負う可能性があります

次に任期満了です。
定款変更していない限り任期は2年ごとになっていることが多く、前回の再任から2年の経過を待って任期満了とし、再任はしないという方法です。
この場合は解任と違い「正当な理由」は問われず損害賠償の余地は通常ありません。

そのため、残りの任期の期間が短い場合などには通常任期満了の方法で臨まれることが多いです。
配偶者からすれば、その残りの任期で法人の運営が適法に行われているか等監視監督を尽くすべきと言えるでしょう

Q2 配偶者が医療法人の持分やMS法人の株式を持っていますが、これにはどのような論点がありますか。法人が買い取らないといけないのでしょうか。

配偶者が医療法人の持分やMS法人の株式を持っている場合、とても大きな問題を生む可能性があります。
特に注意が必要です。

まず、持分や株式は大きな経済的価値を持つ場合があります。
例えば法人の純資産が5億であるとき、配偶者の持分が10%であれば少なくとも5000万円相当の価値をもつ、といった具合です(実際はこのように単純ではなく評価や金額をめぐって争いになります。持分の評価についてはこちらのコラムをご参照ください)。

そしてこれは医療法人の持分についてはより大きな問題となります。
というのも脱退や除名を受けて社員の地位を失う場合には、配偶者はその持分の払い戻しを請求しうるからです。
つまり、金銭化のチャンスがあるということです。そしてその金銭は法人が払うことになるので、法人からすれば運転資金が減ります。

上記のように夫婦仲の悪化を受けて法人から配偶者を排除しようとする動きがある際、配偶者を除名しようとしたり脱退を促したりしても、結局この持分の払い戻しをめぐる論点がハードルとなります。

一方株式(MS法人)については、法人の運転資金の方には問題が生じにくいです。
医療法人と異なり、株式を金銭化しようと思ったら買取を希望する第三者を配偶者が見つけてこなければならないことが通常で、そうでない限りは金銭化することは難しいことが通常だからです。

ただし、MS法人が組織再編行為を行うなど一定の場合には買取希望の第三者を見つけずとも金銭化するチャンスが生じます。
この時、その金銭はMS法人から支払われるので法人の資金が減少することになります。

これはいわゆる反対株主の株式買取請求権の論点ですが、MS法人ではあまり生じにくいものではあります。
とはいえもし生じる場合には、手続に時間的制限があるものが多いので間髪入れず間違うことなく手続きしなければいけません。

Q3 配偶者の持分や株式について、金銭面以外の問題はありますか。

配偶者が持分や株式を持つ場合、問題は金銭面にとどまりません。
総会に出席する権限を有し、法人運営のガバナンスについて様々な権限を有します。

例えば定時総会では事業報告が必要になりますので、法人の決算書や事業の状況などを知られるところとなります
それ以外の重要な総会にも参加したり資料を確認するなどして法人の重要な意思決定を知り、関与するところとなります

また、配偶者が持分を有し、かつ理事である場合、前記のように配偶者を解任しようと思ったら総会を開かないといけないので、その総会には配偶者も出席することになります。そこでは解任の理由や手続きの適法性がシビアに確認されることになるでしょう。

こうした持分や株式を保有させたままでは配偶者との関係を終了させることはできないでしょう。

この点、医療法人であれば持分の払い戻し(要するに法人の資金流出)を覚悟すれば、一定の除名事由がある場合(例えば社員総会に全く出席しないなどその役割を全く果たしていない場合等)、一方的に持分を取り上げてしまうことができます。

一方、MS法人(株式会社)については、一方的に取り上げてしまうことは難しいです。ただし、配偶者の株式が取得条項付種類株式であったり、スクイーズアウトできる資本状況であるなどの状況であれば、法人の資金流出を覚悟すれば、一方的に取り上げてしまうことはできるでしょう。

Q4 配偶者が医療法人やMS法人の従業員です。これにはどのような論点がありますか。

理事や役員の場合同様、会社から排除しようとする動きが生じる場合があります。
夫婦仲が悪化した時、配偶者の関与を嫌ってのことです。

しかし、理事や役員と同様には進められません。
もっと難しいものとなります。

というのも、理事や役員は法人と「委任」の関係に立っているのですが、
従業員は法人と「雇用」の関係に立っているからです。

この配偶者の雇用を一方的に終了させるには解雇の方法によらざるを得ないことがほとんどでしょう。
そして周知のとおり、解雇には労基法、労働契約法等労働法制上とても強力な制限がかけられています。

元々労働の実態がなかった場合であれば解雇もなしうるでしょうが、
そうではなく何らか労働の実態がある場合であれば、解雇はまず不可能でしょう。
夫婦仲の悪化を理由にして解雇が有効となることは通常ないものと思います。

それにも関わらず解雇処分を断行してしまえば、それは不当解雇となります。
不当解雇を争われれば法人側は敗訴する可能性が高いわけですが、そうなると法人にはバックペイの義務が発生します。
要するに、働いてなかったにも関わらず、その間の賃金を支払わなければいけないということです。
そしてそれは以後も続いていきます。

このように配偶者が従業員である場合はその地位をめぐって退職合意の可否が問題になることが多く、
その条件交渉が並行して行われることがあります。

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以上、医師・医者の世帯での離婚問題について、よく相談に上がる事項・論点となる事項にについて解説してきました。これらは一般の家庭ではあまり論点にならない特殊論点といえます。
これらの論点について正当な結果を求めるためには、事実関係及び法律関係を正確に整理して、正しく主張立証することが重要です。

もし、お悩みの方は、初回のご相談は30分間無料※ですので、少しでもお困りの際にはお気軽にご相談ください。既に代理人を選任されている場合でも、当該代理人を補助する趣旨でサポートすることも可能です。
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