Home > News & Topics

2020年9月2日(水曜日)
資産家夫婦の財産分与トラブルを防ぐ「夫婦財産契約」という選択

岩崎総合法律事務所が2019年4月から提供しております「Legal Prime」サービスでは、資産が多い夫婦特有の問題について、過去の裁判例・審判例を踏まえた分析をもとに、お客様にとって最善の解決となるようにサポートしています。

サービス内容の詳細は、「Legal Prime」特設サイトをご参照ください。

ここでは、富裕層や芸能人を中心に最近注目を集めている「夫婦財産契約」について、Q&A形式で解説します。

夫婦財産契約は、入籍日よりも前に締結する必要があります。効力の有効性担保や保全の観点からは公正証書化することも重要です。公正証書化までのプロセスを見据えて、超特急で内容を決めていくにしても入籍日の1か月前くらいからは着手しなければなりません。

時機を逃すと、夫婦財産契約としての効力が生じなくなる恐れがあります。入籍日が迫っている方は当事務所まで直接お問い合わせください

 


目次
  1. そもそも「夫婦財産契約」とは何ですか?
  2. 離婚する際の「財産分与」を結婚前に話し合う必要があるのですか?
  3. 結婚するときに離婚の話をするのはかなりハードですが、どうしたらいいのでしょうか?
  4. 企業経営者・富裕層が夫婦財産契約を締結するメリットは何ですか?
  5. 夫婦財産契約の作成方法を教えてください。
  6. 夫婦財産契約は登記する必要があると聞いたことがあるのですが?
  7. 夫婦財産契約はどのような取り決めであっても内容にすることができますか?
  8. 他の人の例が知りたいのですが、どうしたらいいですか?
  9. 夫婦財産契約の作成を弁護士に依頼するメリットは何ですか?
  10. 弁護士であれば誰でも夫婦財産契約の作成が可能ですか?
  11. 夫婦財産契約を締結したら安心していいのでしょうか?

 

Q. そもそも「夫婦財産契約」とは何ですか?

夫婦財産契約公正証書のイメージ 公正証書により締結した夫婦財産契約の例

「夫婦財産契約」は、結婚しようとする夫婦が結婚する前にする契約であり、家事の分担や財産の管理方法、離婚後の財産分与についてなどを定めるものです。

婚姻中に行われる夫婦間の契約は、婚姻中原則として取消可能状態にあります(夫婦間の契約取消権)。夫婦財産契約を婚姻前に適式に取り交わすことによって、夫婦間の財産について取消可能状態になることなく取り決めできます。「婚前契約」「プレナップ」と呼ばれることもあります。

夫婦財産契約についてのトレンド
2019年11月、女優の深田恭子さんが不動産会社社長と婚前契約書を取り交わしたと一部メディアで報じられました。契約書は、弁護士をとおして作成され、破局時に「財産を請求しない」などといった文言が含まれたようです。

欧米では夫婦財産契約のことを「プレナップ(prenup)」といい、ハリウッドセレブや富裕層などを中心に普及しています。日本では民法上の制度として「夫婦財産契約」制度が設けられているものの、これまであまり利用されることはありませんでした。

しかし近年、日本でも芸能人や富裕層を中心に婚前契約が注目を集めているといえます。

Q. 離婚する際の「財産分与」を結婚前に話し合う必要があるのですか?

資産が多い夫婦の場合、離婚時の財産分与において、以下の4つの問題が深刻化するケースが多く見受けられます。

  1. 資産の多さや特殊な取得方法・資産の特性ゆえに、どこまでが財産分与の対象になるのか
  2. 金融商品・不動産など、対象財産の金銭価値算定に評価を要する場合の適切な評価方法は何か
  3. 夫婦それぞれの能力・経歴に照らした適切な分与割合は何か
  4. 金融商品・不動産などを分与する場合に、当該財産の処分方法をどのように想定するのが適切か

結婚前に夫婦財産契約を締結し、上記の内容を契約において事前に明確にすることで、財産分与の問題が及ぼす経済的打撃を最小限にとどめ、かつその影響を予測の範囲内に収めることができます。

なお、資産の多い夫婦が離婚する場合の財産分与については、こちらのコラムをご覧ください。

Q. 結婚するときに離婚の話をするのはかなりハードですが、どうしたらいいのでしょうか?

婚姻届と離婚届 結婚を財産形成にも大きな影響を及ぼす一大イベントと捉え、前向きに対処することが大切

夫婦財産契約はその性質上、万一の離婚を見据えた内容でもあります。このため、これから夫婦になろうとする者同士にとってはその内容の取り決めに心理的困難が生じることがあるのはある意味当然です。

そのような場合に備えて、穏便かつ自然な交渉をすすめるための後方支援を受けることや、場合によっては中立的な第三者を介して取り決めるなどといったサポートを受けることも有益です。

とはいえ、そもそも夫婦財産契約は、これから結婚される企業経営者・富裕層の方にとって、資産防衛の観点から必須の契約なものですし、また、夫婦財産契約には離婚後の取り決めだけでなく、婚姻中の生活や、一方が先立たれた場合のケアについてなど、お互いを想い合った様々な約束を盛り込むことが可能です。

安心して素敵な結婚生活を送るために重要な役割を果たすものであるということをお二人が良く認識することが、なによりの出発点かもしれません。

Q. 企業経営者・富裕層が夫婦財産契約を締結するメリットは何ですか?

夫婦財産契約を締結していなかった場合、たとえば以下のような財産について、その半分を喪失する可能性があります。

  • 婚姻前の財産や相続財産だったが、婚姻費用と混在させてしまった財産
  • 血のにじむような努力により成長させた会社の株式、上場した場合の株価上昇分
  • 才覚を生かして獲得した多額の株式売却益
  • 自身のネットワークとノウハウを生かして開発、取得した超高利回りの不動産

夫婦財産契約を締結していた場合、上記問題に対処可能です。

Q. 夫婦財産契約の作成方法を教えてください。

夫婦財産契約は、入籍日よりも前に締結する必要があり、婚姻後は原則として変更できない点に注意が必要です。

作成方法に法律上の決まりはありませんが、合意内容を明確にする必要性から、以下2つの方法の中から選択して締結することになります。

  • 私製証書 当事者間の私製の合意書に署名捺印して作成
  • 公正証書 当事者が公証役場へ出頭して公証人をとおして作成

効力の有効性担保や保全の観点からは公正証書化をお勧めしますが、公正証書化までのプロセスを見据える場合、超特急で内容を決めていくにしても入籍日の1か月前くらいからは着手しなければなりません。合意内容によっては、私製証書のみを作成する場合も、両方とも作成する場合もあります。

Q. 夫婦財産契約は登記する必要があると聞いたことがあるのですが?

必ずしも登記が必要な訳ではありません。登記については当事者間で合意した内容を第三者や当事者の承継人(相続人など)に効力を及ぼすために必要ですが、内容が公示され第三者が閲覧できてしまうというデメリットとトレードオフになります。

結婚しようとするお相手が資産を勝手に処分できないように管理・運用することで対応できるのかをよく検討したうえで、登記の要否を判断する必要があります。

Q. 夫婦財産契約はどのような取り決めであっても内容にすることができますか?

以下の法定財産制(民法760条~762条)に関する事項のほか、これ以外の結婚生活に関連した様々な事項を定めることができます。

  • 婚姻費用の分担(760条)
  • 日常家事債務の連帯責任(761条)
  • 夫婦間の財産の帰属(762条)

ただし、以下のような内容が含まれると、契約自体が無効と判断されるおそれがありますので注意が必要です。

  • 同居・扶助の義務を否定する条項
  • 著しく男女不平等を是認する条項
  • 日常家事債務の連帯責任を否定する条項
  • 一方の申し出により自由に離婚できる旨の条項
  • 財産分与額を不当に低く定める条項

以下、夫婦財産契約が無効と判断されたケースを紹介します。

婚姻前に締結した誓約書について、一方の申し出により自由に離婚できる旨の条項を無効と判断し、仮にそうでないとしても財産分与に関する取り決めは協議離婚のみを想定したものと限定解釈したケース
(東京地裁平成15年9月26日判決)

婚姻前に締結した誓約書の「お互いにいずれか一方が自由に申し出ることによって、いつでも離婚することができる。」との規定について、裁判所は、「本件誓約書は、定められた金員を支払えば、原被告のいずれからも離婚を申し出ることができ、他方、その申し出があれば、当然相手方が協議離婚に応じなければならないとする趣旨と解される。そうだとすると、本件誓約書は、将来、離婚という身分関係を金員の支払によって決するものと解されるから、公序良俗に反し、無効と解すべきである。」と判断しました。

また、裁判所は、仮に無効ではないとの前提に立ったとしても、婚姻前に締結した誓約書の財産分与の規定に「協議離婚をした場合は」との文言が用いられていた点について、誓約書作成前にアメリカのprenuptial agreement(婚前契約書)作成を提案するほどであったことなどから、協議離婚と裁判離婚の区別を付けられる知識を有していたこと等を根拠として、裁判離婚における誓約書の効力を否定しました。

「本件誓約書は、文言上、協議離婚しか想定されておらず、また、その草稿を作成したaq(注:当時、原告(夫)の部下であった者)も、協議離婚と裁判離婚等のその他の離婚を区別して作成したものであること、米国の婚前契約書のことまで熟知していた原告が日本の裁判離婚と協議離婚の区別がつかなかったとは到底考えがたいことを考慮すると、本件誓約書が、協議離婚の場合しか想定していないことは明らかである。」「よって、その余の点について判断するまでもなく、本件誓約書は、裁判離婚が問題となっている本件においては、効力はない。」などと判示されています。

Q. 他の人の例が知りたいのですが、どうしたらいいですか?

法務局イメージ 他人の夫婦財産契約自体を閲覧することはできないが、登記で公開されている内容であれば閲覧できる

夫婦財産契約は第三者が閲覧することはできません。もっとも登記されたものについては、婚姻費用の分担、日常家事債務の連帯責任、夫婦間の財産の帰属の内容を知ることができます。

登記は、窓口申請(登記所又は法務局)、郵送申請のいずれかの方法で取得することが可能ですが、申請にあたっては、管轄する登記所又は法務局に対して、登記簿謄本交付申請書を作成・提出し、取得したい登記を特定する必要があります。したがって、「東京で過去に登記された全て」というような形で申請することはできませんし、管轄外の登記は取得することができませんので、事前に作成日や管轄する法務局(本局・支局の別)を把握する必要があります。取得費用は1件あたり600円です。

窓口申請の場合はその場で取得することが可能ですが、郵送申請の場合は申請書の送付から取得までにおおむね1週間ほどかかり、申請書の不備等があれば法務局の方との連絡が必要となりますので更に時間を要することになります。

岩崎総合法律事務所では、国内の全法務局から取り寄せられた登記情報のデータベース(2012年7月時点)を利用することにより、夫婦財産契約の内容の調整にあたって、第三者の例を参考にすることが可能な環境があります

Q. 夫婦財産契約の作成を弁護士に依頼するメリットは何ですか?

資産が多い夫婦の場合、一般的な夫婦と比較して、契約内容が複雑となります。記載漏れなどがあった場合、契約が無効と判断されたり、かえって紛争を泥沼化させたりするリスクがあります。夫婦財産契約を締結する場合は、豊富な経験とノウハウを持った弁護士に依頼することが望まれます。

また、夫婦財産契約はその有効性の担保と、散逸、隠滅ないし偽造防止の観点から、公正証書化すべきです。

この点、公証人は、裁判官や検察官出身者が就いていることが多く、公平の立場から契約内容を確認します。財産分与について真実公平であっても一見、一方に有利となる内容とも読める場合、公証人から公平性を欠くなどとして公正証書化を拒絶される可能性があります。この時に、弁護士が代理人として交渉することで、お客様の希望を法的に整理し、内容を正しく公証人に伝え、迅速な公正証書化に向けて説得する役割を果たします。

また、夫婦財産契約を締結する際には、結婚するお相手ご本人に納得してもらう必要があります。このとき、感情的な問題もさることながら、権利と義務の観点から基準になるラインがどこかを認識して説明準備の態勢を整えておくことが有用であり、弁護士であれば、そのような観点からサポートが可能です。

Q. 弁護士であれば誰でも夫婦財産契約の作成が可能ですか?

弁護士イメージ 夫婦財産契約は国内での作成例は必ずしも多くはない。制度自体と財産保全の両方に精通した弁護士に依頼することが重要

夫婦財産契約において、一般に最重視されることは離婚時の財産分与に関する取り決めです。したがって、もし数年後離婚して財産分与する場合、夫婦財産契約が締結されていなかったらどのような結果となるかを理解することが極めて重要です。

資産の多い夫婦の場合、夫婦それぞれが保有する資産の意義、当該資産の取得方法、市場、評価方法、処分先候補の確保、処分に伴い発生するコスト、今後見込まれる価値変動、アップサイド/ダウンサイド等についての十分な理解を前提にしないと、もし数年後離婚して財産分与する場合の結果を理解することは困難です。

このように、夫婦財産契約では、資産の意義等をよく理解し、資産のある夫婦でトラブルになりやすい事項は何かを予測して予防できる能力をもった弁護士に依頼することが重要と考えます。

また、夫婦財産契約作成の経験がない弁護士に依頼した場合、公証人の指摘に対応しきれず、当初期待した内容での作成が難しくなる可能性があります。

公正証書で夫婦財産契約を締結する場合、公証人により内容の確認を受けることになりますが、真実公平であっても内容が一見して一方的な規定については、厳しく指摘を受けることがあり、希望どおりの内容で作成してもらえないこともあります。公証人は法曹経験者の方がほとんどのため、十分な法的知識を前提として、内容を正しく公証人に伝え、迅速な公正証書化に向けて説得する必要があります。

夫婦財産契約は近年注目されてきているものの、実例が少なく、積極的に分析している弁護士が少ないのが現状です。夫婦財産契約について十分な知識と経験を有する弁護士に依頼されることが重要と考えます。

岩崎総合法律事務所では、プライベートバンカーライセンスを有し、資産の運用・保全に造詣が深い弁護士が、夫婦財産契約の作成をサポートいたします。国内の全法務局から取り寄せられた登記情報のデータベース(2012年7月時点)を利用することにより、夫婦財産契約の内容の調整にあたって、第三者の例を参考にすることが可能な環境があり、学説や過去の裁判例等にも精通していますので、安心してお任せいただけます。

なお、離婚時の財産分与資産の多様性に係る要点については、こちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。

Q. 夫婦財産契約を締結したら安心していいのでしょうか?

まずは、無事に締結することができたら一安心です。

とはいえ、これは夫婦財産契約に限らずあらゆる契約にいえることですが、締結した契約書に期待通りの効果を求めるためには、契約書の内容を正しく理解し、契約書の内容に沿って運用しなければいけません。

この意味で、夫婦財産契約は現実的に実践できる運用かどうかも検討の上で作成する必要がありますし、契約締結後も契約書に沿って正しく運用しなければいけません。

運用が複雑、煩雑に感じる場合は、専属プライベートバンカーや弁護士、税理士などに協力を要請することも一考です。特に、自分が行っている運用が、夫婦財産契約の内容に沿うものかどうか疑問に思った際には都度確認できる体制があることが望ましいです。

 
 


 
 

今回は、「夫婦財産契約」に焦点をあてて解説させていただきました。夫婦財産契約は、これから結婚される企業経営者・富裕層の方にとって、資産防衛の観点から必須の契約であるといえます。

また、夫婦財産契約には離婚後の取り決めだけでなく、婚姻中の生活や、一方が先立たれた場合のケアについてなど、お互いを想い合った様々な約束を盛り込むことが可能であり、安心して素敵な結婚生活を送るために重要な役割を果たします。ぜひとも作成をご検討ください。

 

岩崎総合法律事務所エントランス 岩崎総合法律事務所は夫婦財産契約の作成経験が豊富で、他にも資産家・富裕層向け業務を多く扱っている

岩崎総合法律事務所では、夫婦財産契約の作成業務を多く取り扱っております。

また、弊所には、富裕層向けコンサルタント資格であるプライベートバンカーライセンスを保有する弁護士が所属しており、これまで様々な富裕層、資産家の方を対象にリーガルサービスを提供しており、夫婦財産契約の作成についても多くの実績があります。

富裕層とひとえに行っても、夫婦それぞれの婚前財産、収入状況、資産家としての特性(上場・非上場企業オーナー、医師等プロフェッショナル、不動産オーナー、エンジェル投資家等)は様々です。

岩崎総合法律事務所では、ご相談者様の特性を踏まえ、資産保全と今後の健全な夫婦生活のために最適なものとなるご提案をさせていただきます。

また、夫婦財産契約に限らずあらゆる契約にいえることですが、締結した契約書に期待通りの効果を求めるためには、契約書の内容を正しく理解し、契約書の内容に沿って運用しなければいけません。

岩崎総合法律事務所「Legal Prime」では、設計から運用、そして万一の際も見据えて継続的なフォローアップを通して夫婦財産契約を真に意味のあるものとします。

これから結婚されるお客様にとって最善のスタートが切れるようにサポートさせていただきます。初回のご相談は30分間無料ですので、お気軽にご相談ください

※ 超過時間、平日日中(10時~18時)以外の曜日・時間帯での初回相談、再相談は、30分ごとに5,000円(消費税別)の法律相談料をいただいております。


 
ページのトップへ戻る